Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

奈良美智さんが、一般の人にも、専門家にも評価される理由

今日もお疲れさまです。

 

奈良美智さんは、一般の人にも評価され、専門家にも評価されているアーティストです。

 “目つきのわるい子どもシリーズ” がメインですね。 

 

専門家に評価されているといっても、国内の専門家だけでなく、海外の専門家まで評価されています。

一般の人にしても、“絵画好きの人” だけでなく、幅広い年齢層から支持を得ています。

 

現代アートの場合、一般人と専門家の両者に評価されることは少なく、大抵は専門家のみに評価されます。

そのため、奈良美智さんのように、一般人と専門家の両者に評価されることは、すごく貴重なことです。

 

ではなぜ、奈良美智さんの作品は一般の人にも専門家にも評価されるのでしょうか。

 

理由は簡単です。奈良美智さんの作品は、

一般の人に評価される要素、専門家に評価される要素、両方を持っているからです。

 

ポイントは、一般の人と専門家に、 “共通で評価” される要素ではない、ということです。

 

 

まず、一般の人に評価される要素としては、“かわいさ” です。

“かわいさ” を構成する要素として、

「子ども」「アニメ的な省略の描写」「キャラクター化」繊細で暖かい色遣い」

などが挙げられます。

何より、ただ “かわいい” のではなく、“鑑賞者をにらむ目つき” がアクセントになっています。

 

 

次に、専門家(特に海外)に評価される要素としては、“目つき” が挙げられます。

 

アートの歴史上、奈良美智さんの作品が登場するまで、“鑑賞者をにらむ子どもの肖像画” は存在しませんでした。

 

肖像画は、モデルをできるかぎり “美化” して描きます。

簡単にいうと、美男美女になるように、男性ならカッコ良く、女性なら美しく。

高齢な男性であれば威厳を持たせ、子どもなら純粋でかわいらしくする。

 

つまり、“鑑賞者をにらむ子どもの肖像画” は、肖像画の歴史に真っ向から対立したものなのです。

加えて、その “鑑賞者をにらむ” という表情は、アニメ的な “省略の描写” で余計に際立っているのです。

 

さらに、アニメ的な  “省略の描写” によって、新しい肖像画を提示したことも、専門家(特に海外)に評価される要素でしょう。

 

 

以上のように、奈良美智さんの評価は、一般の人と専門家で、別の要素が評価されています。

  “目つき” 一つとっても、「かわいい」という評価と、「新しい絵画」という評価、2つの評価が生まれることがあるのです。

 

 

では、何かあれば教えてね!