Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

そして、彼女は「なりたい」より「られたい」を選んだ

今日もお疲れさまです。

 
誰もが知る絵本を書く、有名作家のインタビュー記事を拝見しました。
彼女は、「本当はデザイナーになりたかった」そうです。
 
「本当はデザイナーになりたかった」という話を聞くと、「いやいや、絵本で売れたんだから、全然良いのではないか」と、ほとんどの人が思うでしょう。
 
しかし、世間から成功を収めたように見える方でも、「〜になりたかった」という想いを強く抱いている方は意外と多いのです。
 
なぜ後悔にも近い想いを抱えたままなのか。
それは、「夢を叶えた」という実感がないからでしょう。
 
「夢」を思い描く人は、二つの想いを持っています。
希望の職業に “なりたい” という想いと、人に認め “られたい” という想いの、二つです。
その二つとも達成することを、一般的に「夢が叶う」と呼ぶのです。
 
つまり、彼女の場合は、二つの内の一つ「人に認め “られたい”」のみが叶ったわけです。
そのため、「夢を叶えた」という実感を、世間が思うほど持てなかったのでしょう。
 
 
ではなぜ、彼女が「人に認め “られたい”」という想いを持っていた、といえるのか。
それは簡単です。彼女は デザイナーに “ならなかった” からです。
 
人に認め “られたい” という想いがなければ、“評価されるかわからないデザイナー” には、なれたはずです。
「人に認め “られたい”」という想いがあったからこそ、“先に評価された” 絵本作家を選んだのです。
 
彼女は、“なりたい” デザイナーを選ぶことが、すぐに人に認められるとは限らない、という事実をわかっていたのです。
 
決して彼女の選択を否定しているわけではありません。
むしろ、人として、まともな判断をしています。
多数の人に、確実に承認してもらえる能力は、社会を生き抜く力だからです。
 
 
人生を振り返って、「本当は〜になりたかった」と言う人は、“なれなかった” というより、“ならなかった” のです。
 
彼女でいえば、「本当はデザイナーになりたかった」という言葉は、
実は、「本当はデザイナーになりたくなかった」と同義です。
 
なぜなら、本当になりたい職業があれば、他の職業能力が評価されようとも、本当になりたい職業を続けるからです。
彼女の場合、デザイナーを目指す、をやめた時点で「本当はデザイナーになりたくなかった」のです。
 
彼女が本当にやりたかったのは「多くの承認を得られる職業」なのです。
 
 
彼女とは反対に、すぐに人に認められるとは限らない、とわかっていても、希望の職業を続ける人は、「なりたい」を生きているといえます。
 
希望の職業に “なりたい” と、人に認め “られたい” 。
どちらも達成するのがベストですが、どちらかを選ぶ局面もあるでしょう。
その時に選んだ方が、本当に達成すべき “想い” なのです。
 
 
では、何かあれば教えてね!