Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

エンタメ・情報系番組が好む、わかりやすい驚き

今日もお疲れさまです。
 
前回、前々回から続くアートの本質を考えるエントリーです。
今回が三部作の完結編です。
 
前々回は “困難な行為による描き方”、
前回は “困難な仕上げかた” に注目してしました。
 
とりあげた2つには、共通点があります。
それは、“わかりやすい驚き” がある点です。
 
塗料用のローラーで絵を描くのは、絵を描くのに最適な筆を使っていないため、難しいとすぐにわかります。難しいと思うことができている、という点が “驚き” となっています。
 
米粒に絵を描くのは、絵を描くのに最適なサイズの紙を使っていないため、難しいとすぐにわかります。こちらも、難しいと思うことができている、という点が “驚き” となっています。
 
これらのような、“わかりやすい驚き” がある作品や制作方法は、エンタメ・情報系のテレビ番組向きです。
なぜなら、短い時間で視聴者の関心を引き続けなくてはならないテレビ番組の目的と、親和性が高いからです。
大家族の日常も驚きに溢れていますし、警察が深夜の勤務で酔っ払いを注意するのも、わかりやすい驚きに溢れています。
 
 
では、“わかりやすい驚き” を持つ作品の、本質的な課題は何でしょうか。
 
それは、
“わかりやすい驚きは、時間に耐えられない”
ということです。
 
つまり、わかりやすいがゆえに、すぐに飽きられてしまう可能性が高いのです。
 
『アメトーク』や『ダウンタウンDX』などに代表される、芸能人のトーク番組は、
 
“理解できるわかりやすさ” 、 “驚き” 、 “面白さ” 
という3つが見ごとに掛け合わされています。
だからこそ、一瞬で多くの人を楽しませることができるのです。
 
しかし、番組の一つ一つのトークだけを何回も見続けることはできません。
わかりやすいがゆえに、すぐに飽きてしまうからです。
 
トーク番組に出るタレントは、一瞬で多くの人を楽しませるのが果たすべき目的です。
彼らは、“わかりやすい驚き” が持つ課題を把握しており、次から次に話を展開するプロです。
 
しかし、アートは事情が異なります。
短時間で飽きられ、消費されてしまうことは、作品の本来の目的から遠ざかってしまうからです。
アートの本来の目的は、見た人に何らかの価値を与え続けることです。
 
こうした本来の目的を果たす作品が、エンタメ・情報系のテレビ番組で取り上げにくいのは言うまでもありません。
 
 
では、何かあれば教えてね!