人物画と商品デザインを、融合したアーティスト
今日もお疲れさまです。
商品やサービスのデザインは、伝えたい情報を整理した上で、短時間で強く伝わる表現を選びます。
人々が様々な場所で商品やサービスを目にするとき、目にする時間は一瞬だからです。
そのためデザイン作品は、絵画のようなアート作品と比べて、短時間で情報を伝えるものが大半です。
表現においても、商品やサービスのデザインは、シンプルさが必要となります。
色や形、線までシンプルに表現されるのが王道です。
たとえば、デパ地下でよく見るチョコレートの詰め合わせ。
味や使用された食材を象徴するかのように、様々なデザインを見ることができます。
詰め合わされた商品は、「チョコレート」というベースにおいて同じです。
しかし、味や素材の違いを主張するため、一個ずつまったく違うデザインが施されています。
3つの味を国旗のように3色で表現したデザイン、コーヒー味を象徴するためにコーヒー豆の形のチョコレートを乗せたデザイン、ミルクとチョコレートの混ざり合いを渦巻きの形にしたチョコレート。
味や素材、店の特徴などを視覚的に楽しむことができます。
全ては商品としての魅力を、わかりやすく伝え、感じてもらう目的でデザインされています。
このような商品としての魅力をデザインするように、絵画のモチーフである顔をデザインしているアーティストがいます。
それは、横山裕一さんです。
横山裕一さんは、絵画やマンガなどにデザイン性を取り込んだ作品を制作します。
絵画でのメインは「顔」がモチーフです。
横山裕一さんの描く「顔」は、デザイン的な線や反復する形で構成されています。
その線や形や色の構成は、個人の顔の特徴であり、何かの時の表情のようです。
それは、商品のようであり、思わず買いたくなるデザインです。
そして、その商品的に顔の特徴や表情がデザインされていることが、“新しい人物画” となっています。
その “新しい人物画” は、鑑賞者に新しい体験をもたらします。
絵画は、もともと鑑賞に時間制限がありません。
比較的、絵画の鑑賞は、 “ゆっくりとした時間の流れ” の中で行われます。
しかし、横山裕一さんの作品は、時間制限のない絵画の中に、短時間で伝えるデザイン性を込めています。
そのため鑑賞者は、一つの作品で、二つの時間の流れを体験することになるのです。
その二つの時間軸をたゆたう感覚は心地よく、いつまでも作品世界の中に留まってしまうのです。
絵画とデザインの融合は、貴重な価値を生み出すのです。
では、何かあれば教えてね!