Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

最終的な支持体、という考え方

今日もお疲れさまです。

 
絵画を構成する要素として、「支持体」があります。
「支持体」とは、キャンバスや水彩紙のように「描かれる媒体」のことを言います。
つまり支持体がないと、作品は存在しないことになります。
 
支持体は、表面に “素材感” を持ちます。
この “素材感” は、作品の最終的な見え方に大きく影響します。
 
 
そもそも、キャンバスに描く場合、正式にはキャンバスが支持体です。
しかし実は、描かれ方によって “最終的な支持体” はキャンバスでなくなります。
 
具体的に説明します。
 
何も描かれていないキャンバスですと、“支持体” は帆布(はんぷ)の織り目です。
しかし、帆布の上から、全体にジェッソを塗ると、“最終的な支持体” はジェッソということになります。
なぜなら、絵を描くのは “ジェッソの上” だからです。
 
となると、ジェッソの上からアクリル絵具を全体的に塗ると、“最終的な支持体” はアクリル絵具です。
 
同様に、キャンバス全体に和紙を貼れば、最終的な支持体は和紙です。
キャンバスがもったいないので、ほとんどないケースと思いますが。。
 

この “最終的な支持体” の考え方は、一見当たり前のことのように感じますが、実は初心者に近い方ほど、あまり考えられていないのです。
 
最終的な支持体を“ アクリル絵具” にしたいのであれば、正式な支持体は「紙」でも「板」でも良いはずです。
なのに、「油絵具」「アクリル絵具」は “キャンバスに描くもの” という思い込みにより、迷わずキャンバスを選んでしまっているのです。
 
キャンバスは、元は「油絵具」を乗せるためにできたものです。
しかし、その油絵具の “乗せ方” も時代により変化しています。
描くための素材だけでなく “最終的な支持体” がどの支持体なら合うか、しっかりと検証する必要があるのです。
 
自分の使いたい素材だけでなく、“最終的な支持体” が正式な支持体と合うか、もう一度見直してみましょう。
 
 
では、何かあれば教えてね!