ピカソのスゴさ 〜キュビスムの応用〜
今日もお疲れさまです。
美術史上、パブロ・ピカソが最も重要なアーティストの一人なのは言うまでもありません。
誰もが、あの特徴的な作風を想像することができます。
美術史上の功績としては、何といっても「キュビスム」を世に送り出したことでしょう。
あまりに有名すぎる話です。
美術史上の功績以外でも、ピカソにはアーティストとして “スゴい” 要素が多くあります。
アトレスが注目したいスゴさの一つは、
“ピカソは画家として、「キュビスムの開発」だけで終わらなかった”
ということです。
これが、ともにキュビスムを開発したジョルジュ・ブラックとの大きな違いであり、ピカソのスゴさたる所以です。
ピカソは、「キュビスムの開発」以降も、様々な作風に取り組みました。
キュビスム以降の作風は、一見すると極めて自由に描かれたようにみえます。
思うままに、自由に線や色、フォルムを描いているようです。
しかし、実はまったく自由ではありません。
むしろガチガチの絵画です。
あの、鑑賞者への “強烈に自由な印象” は、ただ自由に描いても表現できるものではありません。
あえて画面内の構成が破綻しそうなほど、線やフォルムをデフォルメしているのです。
“破綻スレスレ” まで、パンパンにデフォルメすることが、絵画を強めることを、ピカソはよくわかっていたからです。
それゆえに、パブロ・ピカソの作品は、
絵画哲学をがっちりと踏まえた、 “お手本の絵画” なのです。
さらにピカソがスゴいのは、晩年までキュビスムの要素を絵にしっかりと残したことです。
どのようにキュビスムを残したか。
それは、晩年までずっと描き続けた人物画に見ることができます。
描かれる人物の表情を強調するために、いくつかの顔を一つの顔の中に詰め込んでいます。
一つの顔の中に、幾つもの顔の要素がある。
キュビスムの、「一つの画面に、様々な視点のモチーフを混在させる」を、“顔の要素” で応用しているのです。
非常によくばりな表現です。
しかし、色んな想いの表情を一人の人間が持っていて、それを一枚の作品で表現するなら、非常に理にかなった表現なのです。
実際この表現の “スゴさ” に気づいた多くのアーティストが、同様の描き方を取り入れています。
パブロ・ピカソは、絵画を強める極限のデフォルメにプラスして、“キュビスムの応用” を絵画にいれることで、“王者の絵画” として今も輝き続けているのです。
では、何かあれば教えてね!