Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

様々な要素で、様々な完成度がある

今日もお疲れさまです。

美術の授業や講義で、絵画などの制作を手がける時、先生や指導者が、
「完成度が低い」「完成していない」
とコメントすることがあります。

このコメントは非常に “便利” です。
“便利” であるがゆえに、使用には注意が必要です。

以前のエントリーでも書きましたが、“完成” の定義は、画材や制限時間に大きく左右されます。
美術の先生や指導者は、画材や制限時間を感覚的に考慮した “完成イメージ” と比較して、生徒に “完成度” の充足レベルを指導します。

つまり、画材や制限時間などの諸事情を加味せずに、“完成度” を指導する人もいるわけです。

すると、どういう問題が起きるか。

画材の特性やテーマを配慮せず、
「とにかく実物に迫るように(写真のように)描き込みなさい」
という “一辺倒の指導方法” が誕生してしまいます。

こうした指導には、“オマケ” の弊害もあります。

指導通りに “描き込んだ” 作品に対し、
「完成されすぎている」「伸び代がない」「作品に魅力がない」
たどとコメントする人もいるわけです。

指導される生徒からすると、“?” となります。
「指導通りがんばって描き込んだのに、なぜ評価されないの?」
と感じ、制作の方向について悩んでしまうのです。

鉛筆や絵具といった画材の特性、数日で描く受験やスケッチ会などの時間制限、“線画” や “点描” や “重ね塗り” などの描写方法、テーマやコンセプト…。

様々な要素により、適切な “完成度” が違ってきます。
美術の教育に関わる人は、多くの作品を研究して、様々な要素による “完成度” を学んでおく必要があるのです。


では、何かあれば教えてね!