Atlessのアトラス

アート中心に思考したことを書いています。Atless GALLERYで作品を常設展示中。

コラージュ技法で気をつけるべきこと

今日もお疲れさまです。

コラージュ技法とは、雑誌の切り抜きや新聞の切り抜きなど、キャンバスに “別の平面” を貼り付ける技法のことです。

この技法の代表的なアーティストとして、元祖であればジョルジュ・ブラック、日本であれば大竹伸朗さん、海外であればフレッド・トマセーリさん、といったところでしょうか。

上記のアーティストが手がけるコラージュ作品は、切り貼りしたパーツが絵画の中にしっかりと “溶け込んでいて、何気なく作品の魅力を高めています。


コラージュ技法に取り組むのは、とても面白い作業です。
“すでに完成されたイメージ” を分解するため、貼れば貼るほど、完成度が高まるように感じられるからです。


しかし。

コラージュ技法への取り組みは、重大な注意点があります。

それは、“切り貼りしたパーツが絵画の一部にならなくてはいけない” ということです。

これは、どういうことか。
たとえば、『動物』 をテーマにコラージュ技法で制作を進めます。

この時、画面にワニなどの爬虫類がいた場合に、新聞の小さな文字だけのパーツを画面に貼ります。
その新聞の小さな文字が、あたかもワニの皮膚、ワニ皮のように見えた(感じた)とすれば、コラージュ技法はうまくいったことになります。

しかし、このワニ皮の部分に、広告写真で使用されたワニ皮の写真を切り取って貼るとどうでしょう。
ワニの部分にワニの写真を使うということなので、“まんま” になってしまうわけです。

つまり、そのコラージュ部分は、写真の置き換えになっているため、絵画ではなくなってしまうのです。

『動物』をテーマにした絵画作品に、本物の動物写真を貼る行為は、“絵画” ではなく、“写真作品” を制作していることになるのです。

しかも、その写真は広告写真から持ってきたため、自分の写真ではありません。
著作権などの問題も生じるわけです。

このように、コラージュ技法は、非常にナーバスな側面を持ち合わせているにもかかわらず、美術教育の現場では、ただ自由に制作させている場合がほとんどです。

これでは、達者なコラージュ技法を駆使するアーティストは、なかなか育ちにくいといわざるを得ません。


では、何かあれば教えてね!